技術情報
含浸(がんしん)とは?
含浸加工の主な使用目的
含浸加工によって加工された製品には様々な特性を付与する事が可能となります。
- 耐圧気密性能の付与
- 耐腐食性の付与
- 化成処理の前処理
- 切削加工性の向上
- 物理的強度の向上
- 絶縁抵抗の向上
コストの低減
含浸技術により、これまで不良品として処分、あるいは再鋳造されていた製品も良品として使用する事が出来る様になり、大幅な生産コストの削減を実現しました。
再鋳造した場合の費用は「再鋳造費」「人件費」「加工費」「流動費」「管理費」などが考えられます。含浸を施した場合、トータルコストの低減になり、再鋳造にかける時間の無駄も解消します。
含浸加工のプロセス
含浸のしくみ
減圧
製品を大型の含浸タンクに入れます。
含浸タンクの空気を抜き「鋳巣」の中に含浸液が入りやすい状態にします。
含浸液充填
含浸タンクに含浸液を注入し更にエアーにて圧力を掛けます。
これにより微細な「鋳巣」の中にも確実に含浸液が入り込みます。
加熱硬化
微細な「鋳巣」の中に含浸液が入った状態で洗浄を行った後に、加熱による硬化処理を行い、含浸加工は完了です。
こうして含浸加工が施された製品は、気密性が高まることで、エアー漏れ・オイル漏れ・ガス漏れ・水漏れ等の心配がなくなります。更に強度が向上し、切削加工精度の向上や塗装メッキ処理後のフクレ防止等の用途にもご利用頂いています。
含浸技術が利用されている分野
- 自動車・二輪関係
- 鉄道・航空・船舶関連
- 望遠鏡・光学機器関連
- 精密機械関連
- 繊維関連
- 石材関連※
- 建築関連
- スノーモービル等の機器関連
- 美術工芸品関連
- プラスチック関連
- 木材関連
- 製紙関連
- 医療関連
- 水道・ガス関連
※強度向上に効果があります。
含浸技術により再生される製品
- シリンダーブロック
- キャブレター
- ミッションケース
- アルミホイール
- 燃料噴射ポンプ
- バルブ
- 油圧ポンプボディ
- コンプレッサーボディ
- 電気電子ボディ
- ガスレギュレータ
- スプレーガン
- ケース
- 水道蛇口
- 溶射皮膜付き製品
- トロフィー鏡面部品
- シリンダーヘッド
- トルコンケース
- クランクケース
- インテークマニホールド
- ステアリングケース
- ウォーターポンプ
- 油圧シリンダー
- 双眼鏡ボディ
- 水中カメラボディ
- エアーガン
- 消火器キャップ
- カバー
- 電気コイル成形品※
- 工作機械部品
※電気の絶縁性向上及びばらけ防止に効果があります。
製品保証
スタイの含浸加工技術は高い加工品質を誇ります。耐圧検査等、加工品の製品保証体制にも万全を期しています。
鋳巣から空気が漏れています。
気密性が高まり漏れが改善されました。
圧力を掛けて空気の漏れを検査しています。
環境負荷の低減
含浸技術は環境に配慮した技術です。含浸技術そのものが様々な工業製品の生産工程を効率化させ、エネルギー消費量の削減やCO2削減に寄与します。
また、含浸加工に使用する含浸液の再資源化も当社が積極的に開発に取り組んだ最新技術であり、既に実用化されています。
含浸液回収システム「SKISS」
これまで、実際の封孔に使われるのは僅か2%。残りの98%は排水として廃棄処分されているという現実があり、含浸液回収システムを開発しました。
このシステムにより含浸加工で発生する、洗浄水を回収含浸液と回収水に完全な形で分離し、これを繰り返し利用する事を可能としました。これにより圧倒的な環境負荷の低減と優れた経済効果を実現しています。
特徴
1.含浸液と水を回収します
従来の比重分離含浸液回収方式とは全く異なった回収方法を採用しています。
2.含浸液と水を再利用します
回収した含浸液は使用中の含浸液と成分性能は変わりませんので、回収した含浸液は繰り返し利用できます。回収した水も洗浄水として再利用できます。
3.廃棄物処理の負荷を低減します
高濃度排水を重合及び焼却処理又は産廃処理業者に出す必要がありません。
4. コストを削減します
含浸剤の購入量、排水処理コストを大幅に低減します。
また、装置は自動化されており回収処理の人件費は大幅に低減できます。